2013年 02月 04日
器考:眼の技術
種壺(室町) Price:ASK
器づくりでは、ろくろや焼成を行う「手」の技術が必要ですが、どういうものに近づきたいかをイメージする「眼」の技術も大切です。この「眼」は、良いものを見る、知る、選ぶ、感じる事から養われます。書の世界で言う「目習い」です。陶芸作家の中には、周囲の情報に惑わされず、自分自身の考えを大切にする価値観が強いと思います。それはとても良い事ですが、そこに至るまでには、いろいろなものを知って蓄積し、醸成しなければ、自己の考えを昇華できません。インプットがあってこその、アウトプットです。創造とはゼロから生まれるのではなく、既存の経験が培養されたものです。また器は作品であると同時に、価格がつけば商品でもあります。それは対象者がいること。双方向に価値のバランスがとれてこそ、ものは世の中に流通します。その価値は時代ごとに流動的であり、常に相対的です。その文脈の中でマーケットは成立しています。その価値を身につけるには、流行という表層を踏襲することではなく、その時代の本質を慧眼できる「眼」を鍛えることです。見ること、知ることを拒んでは、「眼」は育ちません。他者や流行に左右されないようにする為には、敢えて見識を広げることが必要になります。歴史を学ぶ、古典を知る、市場を知る、人を知る。そして自らの足で体験することです。自分は、こうありたいと思うと同時に、自分はこうはならないと見極める編集力も経験値から生まれます。「眼」は、何を良しとするかを選びとる技術です。技巧が先にあるのではなく、その「眼」と行き来しながら、結果として「手」が活躍するものです。(写真と本文に関連はありません)
原著は1940年刊行の広告業界のバイブル。陶芸とは対極にありそうな分野ですが、そこで語られるエッセンスには示唆に富むことが多いと思います。
アイデアのつくり方 Amazon
ジェームス W.ヤング (著)
816円(税込) / 102ページ
阪急コミュニケーションズ (1988年4月発行)
ギャラリー うつわノート
埼玉県川越市小仙波町1-7-6 (地図)
11:00~18:00
2月の営業スケジュール (営業カレンダー)
常設展: 2月01日(金)~05日(火)
定休日: 2月06日(水)~07日(木)
常設展: 2月08日(金)~12日(火)
冬休業: 2月13日(水)~21日(木)
常設展: 2月22日(金)~26日(火)
定休日: 2月27日(水)~28日(木)
by sora_hikari | 2013-02-04 23:04 | 器考