2013年 01月 28日
「大治将典展 手工業のうつわ」 人産人消
「大治将典展 ~手工業のうつわ~」(1月19日(土)~29日(火))は、あと1日となりました。当店でデザイナーの器を取り上げるのは初めてです。大治さんの手掛けた器をご紹介すると同時に、その周辺で起こっている事象にも目を向けたいと思ったからです。今、大治さんのような世代のデザインの世界は、派手さを求める方向よりも、もっと身の回りの物事へ関心が移ってきているように感じます。作られるモノは、自己抑制的で献身的な道具の姿です。大量生産・大量消費のようなマスを対象とする事なく、中規模で手の届く範囲。お互いの顔が見える距離でのマーケットです。地域の有能な職人と、若い世代が結びついて、今の暮らし向きのメイドインニッポンの再生が起こりつつあります。それは行政支援の依存型ではなく、もっと自発生的な動きです。作り手(デザイナーや個人作家)、伝え手(お店)、使い手(消費者)の意識は、拡大を望むことよりも、充足を求める方向にシフトしています。実感のあるモノづくりと、意味を感じる所有。これはデザインの世界だけでなく、工芸や建築の世界でも、食や農業の世界でも、同時に起きていることです。拡大型経済の時代から、縮小均衡せざる得ない経済状況にある現在では、ある意味で必然的な希求かもしれません。地域で作られたものを、そこで消費するというバランス型社会モデルとして「地産地消」という言葉がありますが、今はさながら人と人が近い意識で均衡する「人産人消」(造語)という言葉が相応しいように思います。これは静かな胎動ですが、次世代に繋がる大きなうねりのように思えます。デザインの仕事は流通や消費に近い立場だけに、より強くこのような印象を受けるのかもしれませんが、この意識の芽生えは、これからのニッポンを元気にしてくれるように思います。
写真は2012年11月の「ててて商店街」の参加の皆さん(大治さん提供)
大治将典 展 ~手工業のうつわ~
2013年1月19日(土)~29日(火) 会期中無休
11:00~18:00
ギャラリーうつわノート (埼玉県川越市) 地図
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by sora_hikari | 2013-01-28 18:26 | 大治将典さん