希水展 @ 築地・茶の実倶楽部

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築地の茶の実倶楽部で開催されている「希水展」に行ってきました。これは、書道家・中澤希水(きすい)さんの書作展です。中澤さんは1978年静岡生まれ。書道家の両親を持ち、書で知られる大学を卒業し、書の大家・成瀬映山さんに師事した経歴を持つ、いわば生粋の書道の世界を歩んできた方です。しかしある時、その正統な書の流派に属することを敢えて断ち、今は独立系の書道家として活動されています。書道は、小さい頃から学校で習い、お稽古の人口も多く、誰もが経験したことのある世界です。しかし、それを発展的に日常の中で書く、接する、鑑賞する、そして所有するという行為は、今は特殊な位置にあるかもしれません。特定の囲みの中で特定の評価が為される世界。近くて遠い書。そんな書のイメージを中澤さんは、より近しく魅力的なものだと伝えようとしているようです。今回の個展で取り上げられたのは、専門家でないと分からない難解なものではなく、平易で理解し易い言葉です。「福」、「雪月花」、「以心伝心」、「平凡」、「愛」、「丁寧」、「真実」など分かり易い言葉を敢えて選んでいます。それは意味解釈だけで書に接するのではなく、視覚的な美しさを伝えるための、目と心の直接的な接続を意図しているように思えます。今回は、その言葉を2通りの書体で表しています。ひとつは誰もが読める書体、もうひとつは甲骨文字()と呼ばれる古代中国の象形文字。どちらの書体も、筆の線が作りだす流麗な旋律と、墨のにじみが生み出す余韻が、紙の上で調和しています。抽象的な言い方ですが、そこには音楽的なリズムを感じます。中澤さんの書は、肉太で勢いのある書と違い、繊細で風通しの良い余白の美しい書です。激しいパフォーマンスに走るのではなく、静かな旋律のなかに見えてくる彩りの豊かさを大切にしているように思います。建築家・ミース・ファン・デル・ローエ()が唱えた「Less is more」、つまり「少ないことはより豊かなこと」を基本に据えている中澤さんの書の在り方を体現している展覧会でした。


希水展
2013年1月7日(月)~12日(土)
11:00~18:00
築地・茶の実倶楽部5階 (東京・築地) ホームページ

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by sora_hikari | 2013-01-10 00:30 | 見て歩き

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