若杉聖子さんの手仕事

現在開催中の若杉聖子展(7/9~19迄)も残すところ1日となりました。若杉さんは兵庫県三田市にある工房で制作しています。夏は倒れる程暑く、冬は世界一寒いと大家さんに言われて借りた場所。元は、陶による聖書のオブジェ()で知られる、故・荒木高子(1921~2004年)さんが使っておられた謂れある所でもあります。若杉さんは泥しょう鋳込みという技法を中心に製作されています。無垢の石膏から彫刻のように原型を削り出した後、石膏型を作り、そこに泥状の粘土を鋳込む方法です。型作りと言っても、量産のそれとは異なり、1点づつ粘土を流し込み、型から外した後は、手作業による口作りや表面の研磨を何度も繰り返す、とても地道で手間のかかる作業です。若杉さんの華麗な器を支えるのは、表には見えない白鳥の水かきのような地味な手仕事です。若杉さんとお話していると時折、板谷波山()の名前が出てくるのが印象的です。板谷波山は、彩磁や陽刻による華麗な装飾の器を完成させた陶芸家。明治以降、初めて陶芸の個人作家という地位を確立し、芸術的領域に高めたと言われる先駆者です。生活寄りの器が尊ばれる中、若杉さんの作る器はそれと一線を置く創造的な作品性があります。時代のなかで孤高の意志を持って創作すること。器づくりの為の厳しい努力と探究心。そんな思いが板谷波山の意識に通じるのかもしれません。とにかく今はたくさん仕事をしたいとお話されます。多くを生み出すことで自分を昇華させようとしているかに見えます。そんな思いから生まれた仕事の一端に触れる機会が持てるのは幸せな体験です。

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若杉聖子 展 ~白亜の蓮弁(れんべん)~
2011年7月9日(土)~7月19日(火) 会期中無休
11:00~18:00
ギャラリー うつわノート (埼玉県川越市) ホームページ

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by sora_hikari | 2011-07-19 00:17 | 若杉聖子2011

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