小野哲平 陶展 @ Kaikai Kiki Gallery

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元麻布のカイカイキキ・ギャラリーで開催されている小野哲平さんの個展に行ってきました。このギャラリーは現代アーチストの村上隆さんの主宰する所です。通常は現代アート展やゲスト向けに利用されているそうですが、このような器をテーマにした展示会は初めてだそうです。ここ数年、村上さんは骨董や器に関心を寄せ、いろいろな見識を広げておられますが、単なる器好きに留まらず、その歴史的な文脈や日本人の器に対する眼識の特徴などを、ご自身の行動による体験の積み重ねから深い洞察をされています。村上さんの活動されているアートのフィールドからすれば、より奇抜な陶芸の展覧会が企画されるようにも思うのですが、まっすぐな視点で器づくりをされている小野哲平さんの展示会を初めに取り上げたことが、村上さんが真摯に器に内在する美に向き合われている象徴のように思えます。刺激の強い活動に耳目は集まりますが、冷静にその著書や発言に耳を傾ければ、表層的なことではなく、その内側にある歴史や美意識に着目され、文脈を踏まえたアート活動をされていることに気づきます。そういう視点からも本展のような、ある意味でやきものらしいやきものを取り上げることで、そこに潜む日本特有の工芸文化の深さや、いまの時代に生成されつつある生活工芸の価値観を敏感に感じ、ご自身なりの咀嚼をされていることが、かえってご本業の意味合いの本質を垣間見るようにも思います。本展は2年前から小野さんと打ち合わせを重ねることで実現した内容です。何度も作家の作る現場に足を運び、そして東京で展示に関する打ち合わせを行い、入念に進められたようです。作り手に対する尊敬からはじまる姿勢に対し、小野さんも深い思いで本展に向けて製作されたのだろうことが伝わってくる内容です。かといって、アートギャラリーに準じた作風を出す訳でなく、あくまで日常の器づくりの延長から臨まれています。ぶれることなく、自分の作るものの純度を求めていく過程に今回の展示会はあるのだと思います。広いギャラリーには1000点を超える器が並べられていますが、その器ひとつひとつが、とても力強く美しい姿をしています。この空間だからこそ並べることの出来る大型の壺や花器の数々、そして畳の上に並べられた碗や鉢類。やきものでしか作り出せない質感や色合いの魅力をたっぷり味わえる器ばかりです。このギャラリーで、多くの人が畳に座り、器を手に取りながらじっくり選ぶ姿を見ていると、アートへの接し方のあり方のもうひとつの側面を見るように思います。「現代生活陶芸」をアニメ、マンガ、ゲームと同じく戦後日本に咲いたリアルな芸術と捉える村上さんの視点()と、小野さんの器を存分に体験できる展示会でした。

※展示作品はこちらのページに紹介されています。


小野哲平 陶展 ~心の闇で、光を放つ。~
2010年12月3日(金)~12月16日(木) ※月曜休館
11:00~19:00
Kaikai Kiki Gallery (東京都港区元麻布2-3-30 元麻布クレストビルB1F) 
ホームページ 地図

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by sora_hikari | 2010-12-04 11:31 | 小野哲平さん

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