2010年 10月 17日
中西洋人 展 @ DEE'S HALL
南青山のDEE'S HALLで開催されている中西洋人さんの個展に行ってきました。中西さんは、伊豆(函南町)で木工のお仕事をされています。オークビレッジ(☆)にお勤めの経験があり、木工家具の制作に携わっておられたそうですが、2年前に独立し、今回が作家としての初個展となるそうです。本展では、サブタイトルにあるように、木で作られた花器を展示しています。それらは、無垢の木から木工ろくろで削りだされた花器。形取りの段階で、朽ちた木や虫食いの跡、木の節目などを造形に取り入れた一品性の高い作品です。回転体として作られたフォルムは、さながら土器のような形状をしています。それぞれの花器は、木地をそのまま活かしたものと、オイル、弁柄、焼きなどが施されたものとを見ることができます。花のための器といっても、木製ですから、そのまま水を入れるのではなく、落しを入れた上で花を活ける方法がとられています。水が入れられないが故に、朽木や割れた木の破れた造形がそのまま活かされ、それが見どころになっています。それらは、いま作り出されたばかりの花器でありながら、元となる木が蓄積してきた時間の長さを造形に留めた不思議な存在です。今回の展示にあたっては、西麻布でアンティーク&カフェ店(☆)を営みながら、華道家(挿花家)としても知られる坂村岳志さんが、いくつかの花器に花を挿しておられます。数年前に中西さんが坂村さんのお店を訪れたことがきっかけで、今回の展示会が実現したそうです。坂村さんが挿してみたい木の器と、中西さんが作りたい木の作品とが、何回もの対話の中から熟成されていったのだそうです。木と花。同じ植物ですから、自然な一体感が生まれます。まるで朽木から芽生えた花一輪のような、新たな生命の息吹です。花器という物体を借りて、時間の儚さを形に刻んでいるようにも感じます。二人の造形家が出会って生まれた、完成度の高い展示会でした。
中西洋人 ~花のための木の器~
挿花:坂村岳志
2010年10月12日(火)~19日(火)
12:00~20:00 (最終日は18:00迄)
DEE’S HALL (東京・南青山) ホームページ
by sora_hikari | 2010-10-17 23:56 | 中西洋人さん