鎌田克慈 うるしのうつわ展 @ ラ・ロンダジル

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神楽坂のラ・ロンダジルで開催されている鎌田克慈さんの個展に行ってきました。鎌田さんは輪島で漆器を作っておられます。大学を卒業後、赤木明登さんに師事し、現在個人作家として活躍する30代前半の方です。鎌田さんの作る漆器は、乾漆と呼ばれる技法によるものです。通常の漆器が木の本体に漆を重ねていくのに対して、木地を用いずに薄い麻布を型にあて、漆を何度も重ねて固めていく方法です。いわば張り子のようなもの。古くは仏像作りにも使われてきた伝統的な技法()です。それは、木をベースにする漆器よりも、形状の自由度や薄造りで軽量化し易いため、落しても割れない、冷蔵庫に入れても変形しないといった利点があるそうです。鎌田さんの場合、そういう機能的な要素も踏まえながら、乾漆という技法を用いる意味として、木工ろくろによる回転体の機械的なプロセスを経るよりも、より手作業の割合いが多く、その結果、完成した器に生まれるほんの少しの揺らぎ、つまりぎりぎりの手の痕跡を、造形に活かしたいといった意識があるように思います。鎌田さんの漆器が、表面の処理もぴかぴかでなく、少し下地を透かしたマットなものが多いのも、そういう造形意識の表れのように思います。ただ、決してその痕跡は誇張し過ぎたものではなく、言われれば気づく程の抑制的な表現です。購入した時点が頂点ではなく、使い続けるなかで器が馴染んで自分のものになって行く時間的経過を、最初の時点でもっと使い手に近づけるソフトな演出であるように感じます。それは漆器をハレの場の道具としてではなく、日常の生活具として使い続けて欲しいという思いなのかもしれません。今回の個展では、オーバルの皿、重箱、スプーンなどの新作も加わった幅のある器が並んでいます。シャープでモダンなフォルムと、手の温もりの残る鎌田さんのうるしの仕事。地道な職人的な作業でありながら、軽やかに漆を現代の生活の場に届けようとする気持ちが伝わってくる展示会でした。


鎌田克慈 うるしのうつわ
2010年10月9日(土)~14日(木)
12:00~19:00 (日・祝日は18:00迄、最終日は17:00迄)
ラ・ロンダジル (東京・神楽坂) ホームページ

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by sora_hikari | 2010-10-10 22:02 | 鎌田克慈さん

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