2010年 04月 02日
赤木明登+内田鋼一 二人展 @ 桃居












西麻布の桃居で開催されている赤木明登さんと内田鋼一さんの二人展に行ってきました。同ギャラリーで2007年に「平面」をテーマに開催された二人展(☆)に続き、今回は「立体」が主題になっています。この二人展は、通常の器展ではなく、主題に基づいて赤木さんと内田さんが、それぞれの造形を提示する内容になっています。まず赤木さんの作品ですが、今回は漆で造られた仏の手。具体的な仏像の手をモチーフにしたものと、オリジナルで作ったものの4パターンの作品が30体展示されています。まず手の本体を作り、その上に下地となる紙や布を重ねていき、それを漆で固め、最後に中身を抜いて空洞で仕上げる、いわば張子づくりのような工程をたどる、伝統的な仏像造りの「脱活乾漆技法(☆)」を用いているそうです。伝来の技法に新たに取り組み、赤木さんならではの緑青、剥げた金箔、根来、錆鉄などの様々な漆仕上げが施されています。それらは、仏の示す象徴的なジェスチャーである印相(☆)でもあり、時間を経て朽ちた仏像の儚い残欠のようにも見えます。次に内田さんの作品ですが、具象や用途からは離れた抽象的なオブジェが展示されています。まず目につくのが大きな塊り。モノリスのようでもあり、太古の墓石のようにも見える無機質な物体。緑青や黒陶の仕上げられたその重量感ある存在が、赤木さんの作った仏の手の背景となり、日常の風景からその空間を切り離しています。そのような大きな作品の他に、黒陶で造られた帽子のような形をした塊り、垂直に立つ白い長方体、何かの部品のような青い小品などを作られています。赤木さんの作るリアルな実像に比して、物体の持つ存在そのものを形象化した観念性が強い作品です。今回の「立体」をテーマにした二人展は、具象と抽象コントラストのある要素と、テクスチャーで意思を表すという共通する要素が、相互に響き合った展示会になっています。
赤木明登+内田鋼一 二人展
2010年4月2日(金)~6日(火)
11:00~19:00
桃居 (東京・西麻布) ホームページ
※参考)脱活乾漆技法の映像(サイエンスチャンネルより)
by sora_hikari | 2010-04-02 22:54 | 赤木明登さん