2010年 03月 16日
内田鋼一 展 @ ギャルリ百草










岐阜県多治見市のギャルリ百草で開催されている内田鋼一さんの個展へ行ってきました。今回は白磁とお茶の道具を中心にした展示内容になっています。古い日本家屋を移築したギャラリー空間の中で、ゆったりと内田さんの作品に接することができます。個展初日に多くの器がお客様の手元に渡ったために、全品を見ることは叶いませんでしたが、それでも大きな作品から小品まで、全体の流れを掴むには十分な器に触れることができました。白磁の大壷、加彩大壷、焼〆茶碗、プラチナ彩茶碗、茶入れ、緑青の大陶筥。大まかには李朝、桃山辺りの流れにある器でしょうか。それを内田さんなりに咀嚼して生み出した器の数々でした。内田さんの器をどう捉えるか。それはなかなか難しい。何故なら、作風は多彩、大きなもの・小さなもの、器・オブジェ、時代も古代から現代まで。そういう幅の広いスタンスに対して、自分なりの実感のある意味合いを得るための多治見訪問でした。個展案内に書かれた百草オーナー・安藤雅信さんの文章(ウサギとカメ)と今回の展示から、腑に落ちた事。それは、内田さんがヤキモノを長い歴史のなかから捉えているという点。明治以降の近代陶芸史の価値観からではなく、古代から現代までのヤキモノの解釈。土を焼くことで生まれた道具に対する根源的なアプローチ。そういう大局的な視点からヤキモノをピックアップし、再構築されているのだろうと感じます。そして、それらを多彩に軽やかに表現できる行動力。日本だけでなく世界の窯場で実際に器づくりを体験してきたことに根差しているのだと思います。また、以前ご本人からお聞きした話では、大型作品を焼く窯をはじめとし、使う窯は10基以上。個人でこれだけの投資を行い、製作に向かうことはすごいことだと思います。内田さんが多くの分野の方々に支持されるのは、ヤキモノの文脈を踏まえた創作性に加えて、ご本人の作ることへの意思の強さへの賛同もあるのではないでしょうか。内田さんのものづくりを理解するには、まだ端緒に付いたばかりですが、東京から離れたギャラリーで、普段とは少し違う視点で作るという事について考えさせられました。
※ギャラリー内はご許可を得て撮影させて頂きました。
内田鋼一 展
2010年3月13日(土)~28日(日) 会期中無休
11:00~18:00
ギャルリ・ももぐさ (岐阜県多治見市) ホームページ
by sora_hikari | 2010-03-16 22:36 | 内田鋼一さん