2010年 02月 11日
冨沢恭子 作品展 @ ギャラリー・ブリキ星










西荻窪のギャラリー・ブリキ星で開催されている冨沢恭子さんの個展へ行ってきました。冨沢さんは埼玉県で、柿渋染のバックや布小物を作っています。このブリキ星での展示は八回目。ここでは具体的な用途から少し離れた作品展を毎年続けています。美大生の頃、タペストリーの作品写真を撮るために「壁を貸して欲しい」と、突然ギャラリーを訪ねたにも関わらず、ご店主が快諾して下さったことがご縁だそうです。今回の展示のテーマは「博物館 ~布で作ったへんてこ~」となっています。店内は、冨沢さんの作った布人形、布小物、タペストリーと一緒に、いろいろな古物が並べられています。その中で目を引くのは、布で作られた人形。まるで土偶のような形をした布偶。古布や柿渋染を使って手縫いされた布偶は、具象性を追った人形ではなく、古代民族が作った祈りの像の残欠のように見えます。また同様の造りで、矢じりや石片のような布小物もあります。それらが、店内に置かれた古物と混ざり合い、確かに考古博物館の一室に入り込んだような気持ちになります。時に用途を離れ、作り手の想いを自在に出せる喜びが伝わってくる内容です。この3月にギャラリーは閉店するそうです。これは2年前から決めていたこと。経済事情ではなく、9年続けたギャラリーのスイッチを一度切ってみるのだそうです。衒いのない「美」を伝えてきた稀有なギャラリー。とても残念なことですが、これもひとつの美学なのかもしれません。そんなギャラリーに「感謝を込めて」と謝辞が添えられた今回の冨沢さんの個展。わくわくしながら作り続けていくことこそが、一番のメッセージなんだと思える、冨沢さんのラスト・ブリキ星展でした。
冨沢恭子 作品展 「博物館」 ~布で作る へんてこ~
ブリキ星に感謝をこめて
2010年2月10日(水)~18日(木)
12:00~19:00 (最終日は17:00迄)
ギャラリー・ブリキ星 (東京・西荻窪) ホームページ
冨沢さんのブリキ星展の記録(ブリキ星HPより)
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by sora_hikari | 2010-02-11 23:23 | 冨沢恭子さん