2010年 01月 22日
吉田直嗣 作品展 @ 日々










銀座の日々(にちにち)で開催されている吉田直嗣(ナオツグ)さんの個展へ行ってきました。吉田さんは静岡県御殿場で制作されています。吉田さんの器と言えば「黒」というイメージがありますが、今回の個展では新たな「白」の器を見ることができます。数年前より徐々に白い器も作っていたそうですが、これだけまとめて出展するのは初めてになるそうです。大学を卒業後、黒田泰蔵さんの工房でアシスタントをしていたという経緯もあって、敢えて黒の器にこだわって作っておられたのかなと思いますが、作家としての実績を重ねる中で、自然な気持ちで白の器にも向き合えるようになったのかもしれません。吉田さんの作る器は、モダンクラフトのようなシャープなデザイン性とともに、わずかな手の揺らぎを感じる形に特徴があるように思います。洋風とも和風とも選別仕切れない折衷された器です。そこにしっとりとした独特の黒色がまとい、エッジを抑えた柔かな温もり感を出しています。今回展示されている白の器も、そんな吉田さんの文脈に添った要素を持ち合わせていて、全く反対の色遣いでありながらも、明らかな共通性を有しています。以前お聞きしたお話ですが、吉田さんは、原土や自然灰にこだわるといった考えはないのだそうです。物流の発達した現在、全国から入手できる安定した素材を使って自分らしい器を創り出すこと。自然の持つ変化を良しとするヤキモノの世界では、現代的なお考えなのかもしれません。しかしそういう変数を除いても、きちんとした自分らしい器を表現できるところに一本の軸を感じます。吉田さんの白と黒の世界に共通するそんな芯を感じる個展でした。
吉田直嗣 作品展
2010年1月22日(金)~27日(水) ※会期中無休
12:00~19:00(最終日は17:00終了)
日々(東京・銀座) ホームページ
by sora_hikari | 2010-01-22 23:50 | 吉田直嗣さん