2009年 11月 01日
村田森さんの個展 @ いちょう














田園調布のいちょうで開催されている村田森(しん)さんの個展へ行ってきました。村田さんは京都で制作されています。村田さんの器のイメージは主に染付磁器だったのですが、今回はそれに加えて、土ものの器も展示されていました。村田さんの作る器の底流に感じるのは骨董の器ように思います。研ぎ澄まされた現代の磁器ではなく、江戸期の日常的な器のような味わい深さを感じます。それは、整えて綺麗にしていく技巧的な手法よりも、濁しや緩みを生み出す情緒性のうまさとでも言えばいいでしょうか。染付の絵柄としているモチーフにも、ご自宅の大型犬を戯画的に描き、使う側に含みのある愛嬌を持たせてくれます。土ものも粉引や刷毛目の器がありますが、精選しない灰を使い、ざっくりとした焼上がりの味わいを大切にされているように思いました。京都といえば、料理にも器にも厳しい目をもった顧客が多くいると思うのですが、そんな中で村田さん独自の柔かな世界観のある器を伝えようとしているように感じます。変り形の向付けなどを見ると、伝統と現代の器を繋ぐ意識もあるのかもしれません。料理を楽しく、おいしく演出してくれる肩肘の張らない優しさが、村田さんの器にはあると思いました。
村田森 うつわ展
2009年10月30日(金)~11月7日(土) 会期中無休
11:00~18:00
いちょう (東京・田園調布) ホームページ
by sora_hikari | 2009-11-01 00:38 | 村田森さん