2009年 10月 28日
青木良太さんの個展 @ 桃居
西麻布の桃居で開催されている青木良太さんの個展へ行ってきました。青木さんは岐阜県土岐市で制作されています。日常の暮らしとの調和を求める生活の器が尊ばれる中、青木さんの作る器は、先鋭的で使用する側の日常性と対峙するような緊張を持つと言っても良いかもしれません。かつてのインタビューで安藤忠雄さんの建築に合うような器を作りたいとおっしゃっていたのを読んだことがあります。それはシャープに作られたフォルムや、緻密に調合された釉薬が生み出す実験的な作風から、その意を受け取ることができます。青木さんの工房がある美濃地方は、かつて桃山時代に数々の日本独自の斬新な器を生み出してきた地であると知れば、その因縁を感じない訳でもありません。ターバンを巻いたスタイルも従来の陶芸家とはイメージを異にして、アパレル系の業界にいる方のようにも見えます。作るものやスタイルも意図して前に押し出そうとしているように思います。多くのビジネス書に記されているように、将来、成功する自分をイメージした上で、逆算して現在のポジションの有り様を問い直すという思考がありますが、青木さんの行動を見ていると、そのようなもっと大きく自分を捉えていこうとする様子を感じます。しかし、それを成すためには、地道な製作や試行錯誤の時間がある訳で、人物の表面的な見た目や行動からだけでは見えてこないひたむきさがあるように思います。現代アートギャラリーでの個展、ニューヨークでの個展などのチャレンジの背景に、地味な多くの製作時間があることをこのような個展でひとつひとつの器から感じることができます。テレビ放映の後だけに、作り出す器だけでなく、純粋な青木さんの人物像に魅せられた方も多いのではないでしょうか。
青木良太 作陶展
2009年10月26日(月)~31日(土)
11:00~19:00
桃居 (東京・西麻布) ホームページ
by sora_hikari | 2009-10-28 00:18 | 青木良太さん