田宮亜紀さんの鉄土鉢

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千駄ヶ谷 SHIZEN 2009年6月

静岡で制作されている田宮亜紀さんの焼き締めの浅鉢です。田宮さんは、釉薬を掛けずに土だけで形づくりを行い、それを焼成して焼き締めることで器づくりをされています。通常はガラス質に変化する上釉をまとうことで、器の撥水性や強度を高めたりするのですが、焼き締めの器は、それを使わないことでより土の見せる表情を際立たせる魅力を追求することになります。その分、より時間を掛けた焼成の過程が必要になります。土の色合いを浮立たせたり、火の変化を写したり、薪の自然灰を活かしたり。窯に入れる前の作業よりも、窯に入れてからの作業が器への表情に影響をしてきますので、なかなかコントロールしづらいところで、自分の器の表情を生み出す技術を要するのだろうと思います。このお皿も焼き締めの器ですが、土の上にさらに鉄分の強い土をもうひとつ加えることで、より一層の深い色合いを出されているそうです。プレーンな形をした鉢ですが、深い色合いのなかにある微妙な変化は、見る側、使う側に多くの発想を与えてくれるように思います。

by sora_hikari | 2009-07-21 01:26 | 田宮亜紀さん

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