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希水展 @ 八雲茶寮

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目黒の八雲茶寮で開催されている「希水 展 -感-」に行ってきました。これは、書家・中澤希水さんによる「書」の展示会です。八雲茶寮は、現代的な和菓子で知られるHIGASHIYAと関連する所。目黒の住宅地の一角にある落ち着いた一軒家で和菓子販売、喫茶、懐石料理の提供を行っているお店です。その空間は、すっきりと清らかな和モダンの世界。その店内に今回の「書」が展示されています。通常、書家の発表の場は、書の流派に関連する美術館や施設での展示が多くを占めますが、このような「食」「住」と密接な場で行われる「書」の在り方は、とても新鮮に映りました。中澤さんの「書」は、パフォーマンス的な力の籠った毛筆+墨の世界とは一線を画し、ぎりぎりまで削ぎ落とされ、繊細で風通しの良い「書」です。いわばミニマルな音楽のごとく、その空間と渾然一体となって溶け合う空気のような存在です。声高に言葉を発することよりも、時に静かに余韻を残す言葉の方が、心の奥に響くことがあるのと同様に、淡い墨、微かな滲み、ふっと浮くような筆運びで書かれた中澤さんの文字には、軽やかな風の流れに深い奥行きを感じました。「書」としての意味、そして視覚的な「絵画性」、聴覚的な「音楽性」に魅了されます。まさに「感」じる中澤希水さんの書展です。


希水 展 -感-
2013年10月28日(月)~11月22日(金)
9:00-17:00
定休日 日曜・祝日
八雲茶寮 (東京・八雲) ホームページ

「中澤希水による書を愉しむ会」
自分の名前の毛筆レッスン+八雲茶寮の昼懐石料理
11/9(土)、11/16(土) 11:00~14:00 各回22名迄
会費:1万円
詳細はこちらへ

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by sora_hikari | 2013-10-28 21:49 | 見て歩き

15と8 展 @ さる山

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元麻布のさる山で開催されている「15と8展」に行ってきました。「15と8」とは、15種類の新作の金属カトラリーと、それに合わせた8名の作家の器の展示会を表しています。まず注目すべきは、何といっても、新作のカトラリー。さる山のご店主である猿山修さんがデザイン、仕上げや加工を竹俣勇壱さん、製造を新潟県燕市の田三金属の3者で作ったシリーズ。それぞれのイニシャルを合わせて「ryo」シリーズと呼ぶカトラリーです。従来よりデザートスプーンとフォークは発表されていましたが、今回はそれ含んで、全15種まで一挙に拡大して新登場というのが、本展の一番の肝になります。17~18世紀ぐらいの古い欧州の銀食器に見られるようなしっかりした形状。西洋の食卓で多様に分化した目的別のカトラリー。魚用、デザート用、バター用、サーバー用など、カトラリーに見られる西洋文化の深みを感じることができます。今回の新作は、実用と製造を考慮したステンレス製。仕上げは古色の仕上げと、鏡面仕上げの二種類が揃っています。このカトラリーの発表に合わせて、脇を固めるのが豪華8名の作家。カトラリーをイメージした器を併せて展示しています。各家庭に既にあるベーシックなフォークやスプーンに加えて、用途の広がるカトラリーを加えるのも楽しいです。アンティークのカトラリーも良いですが、時代によっては鉛の含有の心配もあるので、この「ryo」ならその風合いを活かしたまま、食卓で安心して使えるのも嬉しいです。本展では、これらのカトラリーを選んで購入する事も可能です。また、幅広く取り扱い先も広げていく方針との事ですから、仕入れ販売の相談も気軽に受け付けてくれるそうです。カトラリーとあなどる事なかれ。さる山さんの大きなチャレンジ、意欲作に触れられて、心躍る体験になりました。


15と8 展
2013年10月19日~27日(日) 会期中無休
13:00-18:00
さる山 (東京・元麻布) ホームページ

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※本展向けの文章も秀逸です(「15と8展」のDMより転載)

「カトラリーの快楽」
ひとが一貫して持ち続ける欲求の最たるものは食べることではないか。日々他の生命を頂くことでそれを自らの一部とし、私たちは保たれている。食べなくては生きられないこのどうしようもない弱さを、楽しむことで強さに変えようとしてきた。知恵を総動員し工夫を凝らし、世界中に幾千の料理を生み出した。そして楽しむことは料理そのものの探求にとどまらず、食卓における道具にまで広く及ぶことになる。何を食べるかだけでは料理の味は完成しない。どう食べるかもまた重要である。使う道具は料理の味を大きく左右する。手に持ち口へ運ぶ道具と器を日本と西洋とで比較すると、関係性が対角線上に浮かび上がる。日本の箸は一度の食事で大抵同じものを使うが、代わりに形や大きさ、素材もさまざまな器をいくつも並べることが珍しくない。最も適した料理と器がそれぞれ取り合わされる。これに対応するかのように、西洋の器は多少の形や大きさの違いはあれど磁器の皿が中心となり、ボウル等を加えても極限られるが、カトラリーの種類は幅広く豊富である。ナイフやフォーク、スプーンが料理によって選ばれ組み合わされ、用途を細かく与えられている。日本の箸と西洋の器は全く違う役割を持ちながら、万能という点で一致している。万能のよさを実感しながら、しかしひとは使い分ける楽しみを忘れはしない。器と築いた親しい関係をあらためてカトラリーともはじめてみたい。例えば、焼かれた肉をフォークで刺すとき、こんがりとした香ばしさをその表面のかたさによって想像する。フィッシュナイフで魚をほぐすとき、ふわりとやわらかな食感を先取りしている。スープにポタージュスプーンをゆっくり沈め、すくいあげた複雑な香りにどんな味かと気がはやる。バターナイフでバターを切り分ければその厚みでミルクの濃厚さをひとあし先に味わい、バタースプレッダーをパンの上に滑らせればバターのなめらかさにとろけそうになる。ケーキスプーンでキャラメルの薄い膜をそっと壊したなら、パリッと聞こえる音にほろ苦さと甘さを交互に連想する。料理を口に含みおいしさがやってくるその前に、テーブルから口までのつかの間に、カトラリーを実際に使うことでしか味わい尽くせない魅力を五感で堪能する。視覚的なうつくしさにはじまり使うこと自体を楽しむとき、そこにはおいしい予感が満ちてきて期待が呼びよせられ、最後は舌で感じるおいしさをきっと増幅している。ひとが宿命的に抱えることになった欲求と、それを精一杯楽しむことを選んだ能動的な振る舞い。その両方こそがカトラリーの源である。おいしく食べることの快楽へと私たちを導き、使うこと自体にもまた快楽が潜んでいることをカトラリーは教えてくれる。
※文章は、山本千夏さん


by sora_hikari | 2013-10-25 23:59 | 見て歩き

下村順子・矢島操 二人展 @ トライギャラリー

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御茶ノ水のトライギャラリーで開催されている下村順子さんと矢島操さんの二人展に行ってきました。下村さんは神奈川県で陶のオブジェや器を、矢島さんは滋賀県で絵のある器をお作りなっています。お二人とも作風の異なる内容ですが、それがこの二人展のユニークな構成になっています。下村さんが作るのは、どちらかと言えばプリミティブな陶の造形で、土器やオブジェなど、土の持つ表情を活かしたものが特徴的です。一方、矢島さんは上絵や掻き落としによる色のある絵柄や模様を活かした装飾的な器です。テクスチャー重視の作家と、絵画的な作家。図と地。ルビンの壺のごとく、一方に視点をおいてみる景色と、もう一方の景色のような関係性のようにも例えられる二人展かもしれません。陶芸を根っこの素材側からアプローチするか、表層側の仕上げの方からアプローチするか。観念的な見方ですが、そういう二人展として捉えてみるのも面白いかもしれません。いや、一挙両得に二人の個性を楽しめる、といった方が素直かもしれません。楽しい二人展です。


下村順子・矢島操 二人展
2013年10月25日(金)~31日(木)
12:00~19:00
トライギャラリー(東京・御茶ノ水) ホームページ

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by sora_hikari | 2013-10-25 23:05 | 見て歩き

八代淳子展 @ ヨルカ

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東日本橋のギャラリー・ヨルカで開催されている八代淳子さんの個展に行ってきました。八代さんは、長野県軽井沢で木漆器を製作されています。木地から自分で加工し、仕上げの漆仕上げまでを一貫して手掛けています。今回の個展では、注ぐ器をテーマにして主に酒器にまつわる漆器を提案しています。大きく面取りされた注器、錫を混ぜて金属質の仕上げの片口や盃、刳り模様の盆や折敷など、木の肌合いと漆の質感を活かした八代さんの独特の造形感覚による漆器の数々です。また漆器としては珍しい醤油入れもあり、それぞれの個性ある形や仕上げが食卓を豊かに演出してくれそうです。全般的に黒を基調として、時を経て炭化した古代木のような風合いが魅力的です。いわゆる産地の系譜を辿る漆器とは異なり、八代さんの生み出したフォルムと質感で構築された世界観を楽しめる展示会です。


八代淳子展  注ぐ器
2013年10月18日~26日
12:00-19:00
ギャラリー・ヨルカ(東京・東日本橋) ホームページ

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by sora_hikari | 2013-10-25 22:40 | 見て歩き

仙厓と禅の世界 展 @ 出光美術館

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丸ノ内の出光美術館で開催されている「仙厓と禅の世界」展に行ってきました。仙厓(せんがい)とは、江戸後期に福岡県にいた禅僧です。軽妙洒脱な書画を描き、庶民に慕われた人です。出光佐三氏を題材にした「海賊とよばれた男」の中でも触れられているように、時に出光氏の生き方や言葉にも引用される意味深い書画でもあります。絵は円やかでユーモラスなものが多く、画風はとても親しみ易いですが、そこに書かれた言葉には深いメッセージがこめられています。分かり易い絵で人心を引き込み、禅の思想を伝える。高みからでなく、人に近づいて話してくれるのが、その禅画からも伝わってきます。自分の心に残る1枚が見つかると、きっと楽しいと思います。

仙厓と禅の世界 展
2013年9月21日~11月4日
出光美術館 (東京・丸ノ内) ホームページ

by sora_hikari | 2013-10-07 00:27 | 見て歩き

安永正臣 やきもの展 @ gallery uchiumi

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東麻布のギャラリー・ウチウミさんで開催されている「安永正臣 やきもの展」に行ってきました。安永さんは、三重県伊賀市で制作しています。安永さんは従来より骨董を彷彿とさせる白磁や、焼締めの器を作っていますが、最近は砂型を用いたオブジェや花入れにも力を入れています。今回の個展は、その砂型による作品を主題にしています。まず釉薬の成分となる長石や陶石などを使って基本となる形を造ります。それを砂型に埋めて焼成。その後、研磨をして完成します。所謂、金属の鋳造のような工程を、やきもの原料を用いて行うのがユニークな点です。完成した作品は、地中から発掘された古代ガラスや炻器のような表情をしています。それはローマンガラスの様でもあり、土器の様でもあり。今まで目にしたことが無い不思議で新鮮な作風でした。1982年生まれ。これからも楽しみです。


安永正臣 やきもの展  ~砂型による作品、そして~
2013年10月5日~13日
12:00~19:00
gallery uchiumi (東京・東麻布) ホームページ

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by sora_hikari | 2013-10-07 00:03 | 見て歩き

高田竹弥 作品展 @ 桃居

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西麻布の桃居さんで開催されている高田竹弥さんの個展に行ってきました。高田さんは三重県の伊賀丸柱のアトリエで制作しています。高田さんが描くのは、白を基調にした絵画や立体。何度も塗り重ねられた表面は、時間が堆積して生まれた様にみえます。何百年も経って風化したギリシャやスペインの白い壁を切り取ってきたようにも見えます。それは時間を閉じ込めた風景画と言えばいいでしょうか。止まった時と塗り込められた記憶。朧(おぼろ)げで、しかし確かにあった記憶のごとく、曖昧な境目に迷い込んでしまう魅力がある作品です。10/8日迄。現在、発売中の雑誌「日々」に工房訪問記が掲載されています。


高田竹弥 作品展
2013年10月4日~8日
11:00~19:00
桃居(東京・西麻布) ホームページ

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by sora_hikari | 2013-10-06 23:05 | 見て歩き

桃山の名陶 @ 三井記念美術館

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日本橋の三井記念館で開催されている「桃山の名陶」展に行ってきました。これは、桃山時代に花開いた日本のやきものを取り上げた内容です。美濃地方で焼かれた志野、黄瀬戸、瀬戸黒、織部など茶の湯、懐石の世界ではメジャーな焼き物を一堂に見ることができます。三井美術館所蔵の国宝の志野茶碗・卯花墻(うのはながき)をはじめ、ずらりと名品ばかりが約120点ほど並んでいます。桃山時代は、それ以前の唐物(中国の天目や青磁など)や、高麗(高麗茶碗など)の隣国から輸入された焼き物の見立てから、日本独自のデザインによる焼き物が華々しく開花した時代です。そういう意味で、焼き物の歴史を知る上でとても重要な時期と捉えられます。これだけの優品を一堂に見れるのは貴重な機会です。

国宝「卯花墻」と桃山の名陶 -志野・黄瀬戸・瀬戸黒・織部-
2013年9月10日-11月24日
三井記念美術館
ホームページ

by sora_hikari | 2013-10-03 23:56 | 見て歩き

現代の名碗 @ 智美術館

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智美術館で開催されている「現代の名碗」展に行ってきました。現代と言っても、昭和の大家、川喜多半泥子、荒川豊蔵、石黒宗麿、加藤唐九郎から、平成現在の新里明士、桑田卓郎までの約40名の茶碗を幅広く取り上げています。桃山復興による影響の茶碗から、現代的解釈の茶碗まで、時代ごとのエッセンスも見てとるのも楽しいです。この美術館は、ディスプレイや照明が美しく、ガラスケースに入れずに直に器が見れるのもありがたいです。

現在の名碗
2013年9月14日~2014年1月5日
菊地寛実記念 智美術館
ホームページ

by sora_hikari | 2013-10-03 23:14 | 見て歩き

プラグマタ @ 八丁堀

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8月末に東京・八丁掘にオープンした「プラグマタ」に行ってきました。ここは、主にアート系オブジェを扱うお店です。展示品は、アート寄りながら工芸周りの作家が多いのが特徴です。現在、熊谷幸治さん、五味謙二さん、森田春菜さん、上田勇児さん、二階堂明宏さん、キタムラマサコさん、井上陽子さんなどの作品が置かれています。現代アートのフィールドよりは、もっと生活空間に近いところでモノづくりをしている方々です。プラグマタ=pragmataとは、ギリシャ語で物質やモノを表す言葉。英語ならthings。哲学の本場、ギリシャならではの概念を名前に重ねたのだろうと思います。ご店主は、ペトロス・テトナキスさん。ギリシャ生まれ。20歳(?)でロンドンへ。現地でアパレル系企業に勤め、その後来日。以来、アパレル関係のお仕事に従事されました。そんなペトロスさんは、都内のギャラリーでは、ちょっと知られた存在です。頻繁に展示会やお店に通い、好きなコレクションも増えて行きました。親しみ易く、まめな人。日本語も堪能です。お店の品揃えを見ると、時間をかけて自分自身の足で回り、自分の眼で選び、丁寧に作家と接してきたことが分かります。なので作り手も協力的。事務的でなく、モノと作り手への愛情を感じます。この世界を愛してはじめたギャラリー。その偏愛ぶりが伝わってくるお店。ありそうで意外と無かった生活寄りのオブジェ・ギャラリー。東京駅からも歩ける距離。これから、とても楽しみな場です。

プラグマタ
東京都中央区八丁堀2-3-3-3F
03-3297-6011
12:00-19:00 定休日:月曜日
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by sora_hikari | 2013-09-10 16:35 | 見て歩き