「骨」 展 @ 21_21 DESIGN SIGHT

「骨」 展 @ 21_21 DESIGN SIGHT_d0087761_23101052.jpg「骨」 展 @ 21_21 DESIGN SIGHT_d0087761_23101716.jpg

六本木のミッドタウンの敷地内にある美術館、21_21 DESIGN SIGHTで開催されている「骨」展へ行ってきました。これはプロダクトデザイナー&技術者である山中俊治さんのディレクションによる「骨」に関する企画展です。テーマである「骨」とは、動物のもつ「骨」や、工業製品のもつデザインの「骨格」を表しており、生物と人工物の「骨」を同列の視点で捉えたユニークな企画となっています。展示内容は、「陳列室」と呼ばれる導入部では動物の骨格写真、工業製品の分解パーツ類などが並び、「実験室」と呼ばれる奥のメインホールでは10組のチームが「骨」をテーマにして作ったインスタレーションやロボットなどの個別作品が並んでいます。多くのスペースは独自に作られた「実験室」の作品展示がメインなのですが、個人的にはむしろ陳列室に並ぶ具体的な「骨」の様子に興味を引かれました。そこでは、動物の骨格写真、家具や椅子の骨組、飛行機・掃除機・ドライヤーなどのX線写真、医療用の人工関節、ヘッドホン・時計・レコーダーなどの分解されたパーツ類など、通常は肉や外装に覆われて見ることの出来ない「骨格」の部分を視覚的に見ることができます。それは、装飾を排した機能美であり、ぎりぎりまで削ぎ落とされた中から生み出された秩序の美であるように思いました。生物の骨と工業品の骨には相違があるものの、何かを機能させるための構成物の美しさには共通性を感じます。以下は、企画展の冊子に寄せられた深澤直人さんの言葉の引用になりますが、「骨という構造体は、完璧な機能性、破綻や矛盾のないものであり、構造的に無駄がある部分は、自然に退化し必要な部分だけが残る。生物の肉体が環境に合わせて変化するようにデザインも順応するファンクションを求めてゆっくり変化するが、追求しているのは普遍的な「骨」のあり方であり、それを見出せた時に「定番」と呼ばれる。洗練された骨は覆い隠す必要がなく自然に外部に露出してくる構造体となる可能性をもつことを本展は示唆している」(引用抜粋)、という内容に当展の意味合いを感じることができました。表現やアプローチの仕方には違いがあるのかもしれませんが、器の有り様にも何かのヒントがあるかもしれません。

※会場内は撮影禁止だったため展示の様子はネットに掲載された取材記事をご覧ください。
excite ism
ROBOT WATCH
マイコミジャーナル
nitenichiryu
山中俊治さんのブログ


「骨」展 
~骨とデザイン  つくられた骨、未来の骨~
2009年5月29日(金)~8月30日(日)  定休日:火曜日
11:00~20:00(入場は19:30まで)
21_21 DESIGN SIGHT(東京・六本木ミッドタウン敷地内) 
ホームページ出品作品

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会場にも展示されていた動物の骨格写真を撮った湯沢英治さんの写真集です。

BONES  ~動物の骨格と機能美~
湯沢英治 (写真), 東野晃典 (文・構成)
早川書房 (2008/6/23発売)
Amazon
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by sora_hikari | 2009-07-11 00:18 | 見て歩き

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