うつすことから @ さる山

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元麻布のさる山で開催されている「うつすことから」という企画展へ行ってきました。これはご店主の猿山修さんが所有する2世紀頃に作られたシリアの発掘土器を基にして6人の作家がそれぞれの考えで写しを行うというユニークな内容になっています。その土器は金属器を模したもので、世界各地で多く見られる鉢の形状をしているそうです。長い時代をかけて淘汰されてきた器の基本形。繰り返される生活の中で使い易く調整されてきたであろうその形は、人間工学的に計算せずとも、ごく自然に心地良さを人に与える形なのだろうと思います。器の世界では、古い器に基づいて本歌取りをした器をたくさん見ることができます。高麗茶碗、李朝白磁、古伊万里、古唐津など、多くの作家がそれを目指し新たに解釈した作品がいまだに多く生まれています。「写し」という行為は言葉だけを聞くと安易なことにも聞こえますが、視点を変えて見ると創造的な行為であるとも言えます。バッハをどう解釈して演奏するのか、シェークスピアをどう演ずるのかなど原曲、原作を表現することが当然の価値観で成り立っている世界もあります。つまりは原本を如何に奏でるかということも、十分に創造物として見ることも出来るのだと思います。原型のもつ揺るがぬ安定感を、作り手がどういう視点で捉えたかが肝心なのでしょう。人がオリジナルに作るものでも、実は今まで経験して蓄積した記憶を無意識にコンバインして生み出しているものだと思います。今回のように敢えて作者の独創を表に立てずに、「うつすこと」を象徴化させる企画は、ある意味で作家の創作性を新たに「つくること」と同義なことのようにも思えます。陶、木、金属の作家がシリアの土器をどう演奏したのか、そのハーモニーをさる山の空間で聞くことができる、そんな企画展だったと思います。


「うつすことから」 その一

寒川義雄(陶工)
濱中史郎(陶工)
伊藤環(陶工)
新宮州三(木工)
佐藤江利子(金工)
荒井智哉(木工)

2009年1月31日(土)~2月6日(金) 会期中無休
13:00~18:00
さる山 (東京・元麻布) ※ホームページ

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by sora_hikari | 2009-02-01 22:55 | 見て歩き

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