工芸とアートの間のような展示会

ここ数日の間に開催されたアートと工芸の間に坐するいくつかの展示会に行ってきました。それらは、焼き物的であったり、彫刻的であったり、絵画的であったりしますが、特に用途をもたないオブジェと呼ばれるブッタイが中心の展示会です。7月も後半に入り、商業色の薄れるこの時期に、何かの巡り合わせのように開催されたこれらの展示は、いわゆるアートギャラリーのアプローチとは一線を画す、身近な距離の作品展です。いまでも、焼き物周辺では、アート的な陶芸の世界が健在です。特殊で奇抜で技巧的な斬新さ。視覚的に分かり易い。でも所有とは縁遠い感じも。強烈な主張の息苦しさも若干。一方、これらの「ブッタイ」の展示は、寛容なるアートの世界。身近に置いても心地よい無口なモノ。こういう領域の作り手が同時代的に増えてきているように思います。自己の主張よりも、存在の不思議さに着目しているように感じます。発表されるフィールドも、工芸的で生活に近い空間です。「美」とは、崇めるだけでなく、生活の中に溶け込んで一緒にあることの豊かさに気づく人たちが増えているからなのでしょうか。

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「用の図と地」 熊谷幸治・渡辺遼・冨沢恭子 三人展
2013年7月20日~29日(月)
OUTBOUND 東京・吉祥寺 ホームページ

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上田勇児 「みずたまりの土」展
2013年7月11日~23日
Oz Zingaro 東京・中野 ホームページ

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大谷工作室展
2013年7月19日~25日
トライギャラリー 東京・お茶の水 ホームページ

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鈴木由衣 焼絵画
2013年7月16日~22日
Sundries 東京・南青山 


そして、こちらは「芸術新潮」の最新号で赤木明登さんが執筆された「きっと誰かが拾ってくれる」の記事に合わせた6人のオブジェ作家の展示会。

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きっと誰かが拾ってくれる
2013年8月3日~9月7日
51% tokyo 東京・神保町 ホームページ
作り手:上田亜矢子(石彫)、秋野ちひろ(金工)、林友子(泥彩木工)、渡辺遼(金工)、熊谷幸治(陶芸)、横内みえ(漆)

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芸術新潮8月号  新潮社 発売日: 2013/7/25 Amazon

by sora_hikari | 2013-07-25 02:38 | 見て歩き

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