テマヒマ展@21_21 DESIGN SIGHT

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六本木ミッドタウンの21_21 DESIGN SIGHTで開催されている「テマヒマ展 ~東北の食と住~」に行ってきました。これは、昨年7月に、東北大震災を受けて、特別企画として開催された「東北の底力、心と光。 『衣』、三宅一生。」展に続く東北をテーマにした展示会です。本展のディレクターとして、グラフィックデザイナーの佐藤卓さん、プロダクトデザイナーの深澤直人さんを迎え、実務面でフードディレクターの奥村文絵さん、ジャーナリストの川上典李子さん、クリエイティブプロデューサーのトム・ヴィンセントさん、映像作家の山中有さん、フォトグラファーの西部裕介さんが参画して実現した企画展です。会場には、東北で脈々と作り続けられた食べ物や手作りの道具が、映像紹介ともに、とても洗練された陳列で実品が紹介されています。かご、わっぱ、はさみ、漆器、陶器等の道具の展示は既視感があるものの、麩(ふ)や干しいわなや駄菓子などの展示方法は、こういう見せ方があるのだと新鮮な驚きを感じます。東北を見るとき、ひとつはその厳しい冬の季節をもつ環境と同時に、周辺に大都市圏を有さなかった故に外交的な商材が発達するのでなく、自分たちの生活に向けた実直で素朴な生産物が今でも生き続けている地域のように思います。本展の起点には確かに震災による東北へのボランタリーな意識があるように思いますが、むしろそのきっかけを超えて、もっと自分達の足元にある暮らしや生き方を見つめ直す為の方法として、東北という地域が培ってきた文化を借りて啓発しているように感じます。生活の本質は拡大することだけではなく、人の有限なことを知り、その足元を深める事の大切さに気付くことかもしれません。本展に寄せた主催者の言葉に、現代社会が忘れた「時間」の概念が今でも生き続ける地域として東北を称賛しています。「手間ひま」とは、便利さの追求=時間の短縮という概念に囚われ過ぎた現代の人たちに、その意味を問うたメッセージなのだろうと思います。


テマヒマ展 ~東北の食と住~
2012年4月27日~8月26日
11:00~20:00
21_21 DESIGN SIGHT(東京・六本木ミッドタウン内)
ホームページ
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by sora_hikari | 2012-08-17 22:59 | 見て歩き

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