秋岡芳夫 展 @ 目黒区美術館

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目黒区美術館で開催されている「秋岡芳夫展」に行ってきました。デザイナー秋岡芳夫氏(1920-1997)を辿る展覧会。戦後間もない頃の工業製品のデザインから、晩年の木工品デザイン、地域活動、蒐集した道具の陳列までの流れを、モノの展示とともに、その思想にも触れることのできるスケッチや言葉も併せた内容になっています。秋岡さんと言えば、丸みを帯びた木工製品を思い浮かべ、スタイリッシュさよりも、どちらからと言うとヒューマンなクラフトデザイナーという印象を持っていました。しかし本展でその仕事の流れを追う事で、それだけに留まらないデザイナーであった事を痛感しました。日本がまだデザインという意識が確立していない時代から既に優れた工業製品のデザインを手がけると同時に、デザインを生業として確立するための契約項目の定型化や、デザインプロセスを会議で進める問題抽出と解決のスタイルの実践など、外形的なデザインだけでない根本から取り組んだ改革者であったことが伝わってきます。そしてやがて60~70年代の高度成長期には既に大量消費によるデザインに懐疑心を持ち、もっと地域や個人の暮らしに根差したモノとの関係性に目を向けはじめます。その意識が木工デザインや生活デザインといった仕事へと繋がっていったようです。モノと人とのより良き関係を象徴する「消費者よりも愛用者へ」や「手の復権」という言葉に表れていると思います。こういう流れを見ると、この展覧会は秋岡芳夫というデザイナーの偉業を振り返るだけでなく、むしろ現代の暮らしとモノづくりの関係を見つめる上で、とても啓発的な発信がされているのだと感じました。会場の順路最後にある部屋には、秋岡氏が当初手掛けていた童画や子供玩具のスケッチが公開されています。メインの仕事としてあまり知られていませんが、ここに人とのコミュニケーションを大切にする氏の原点を見る思いがしました。それは理屈だけではない、分かり易く伝えようとする目線の置きどころと表現力なのだと思います。この時代だからこそ、あらためて見直される秋岡芳夫氏の存在の意味が伝わってくる刺激のある展覧会でした。


秋岡芳夫展 ~モノへの思想と関係のデザイン~
2011年10月29日~12月25日
10:00~18:00
月曜休館
目黒区美術館 (東京・目黒) ホームページ
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※本展の図録の内容も充実しています(B5変形 220ページ 2500円)


by sora_hikari | 2011-12-23 01:52 | 見て歩き

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