ハンス・コパー展 @ 汐留ミュージアム

d0087761_11254931.jpgd0087761_1125561.jpg

汐留ミュージアムで開催されている「ハンス・コパー展」に行ってきました。ハンス・コパー(1920-1981)は、ドイツ生まれのユダヤ人。亡命したイギリスでルーシー・リーの工房助手する中で陶芸に開花した作家です。本展は、そのコパーの作品約110点と、ルーシー・リーの作品20点を見ることができます。ハンス・コパーの作る焼き物は、花器としての用途を持ちながらも、モニュメント的な造形をした彫刻作品のようです。それは、ろくろで作ったいくつかのパーツを組み合わせて、造形した独特のフォルムをしています。スペード型、ティッスル(あざみ)型、砂時計型、キクラデス(古代エーゲ海彫刻)など、その構造的なフォルムの特徴を捉えた呼称があるようです。そういう造形の原点には、コパーが若い頃に関心のあったピカソやナウム・ガボのキュビズムの影響があるように思います。また形状は彫刻的ですが、それを陶芸作品として強く印象づけるのは、その表層を作るテクスチャーの表現であろうと思います。粘土の上に塗った化粧土(スリップ)を何度も剥がし落して陰影を作り、そこにマンガン系の釉薬を刷毛塗りして焼成して作られた作品の多くは、時間を塗り込めたような古代の土器のような印象があります。それは、当時、イギリスで著名であったバナード・リーチをはじめとする東洋的なフォーククラフトとは大きく一線を画す、西洋の新たな陶芸作品を昇華させたのだろうと思います。自然の不確定な因子に委ねることの多い東洋陶芸の意識に対して、あくまで自分でコントロールし重ねていくタイプの西洋陶芸のように思います。しかし一方で、コパー作品のフォルムやテクスチャーから感じるのは、西洋の外向的な意識よりも、内面に向かった深い意識であり静寂さであるところが興味深いところです。それは彼の出自からの影響なのか、あくまで造形からくる印象なのかなど、想像を巡らせるのも良いかもしれません。先日まで開催されていた国立新美術館のルーシー・リー展に続き、イギリス陶芸を代表する作品に出会える魅力ある展示会です。


ハンス・コパー展 ~20世紀陶芸の革新~
2010年6月26日(土)~9月5日(日)
10:00~18:00 (入館は17:30迄)
休館日:月曜(7/19、8/9は開館)及び 8/12~16
入館料:一般500円
パナソニック電工 汐留ミュージアム (東京・汐留) ホームページ

d0087761_11302098.jpg



※今後の巡回先
2010年9月18日~11月23日 岐阜県現代陶芸美術館
2010年12月4日~2011年2月13日 岩手県立美術館
2011年4月9日~6月26日 静岡市立美術館


by sora_hikari | 2010-07-03 11:32 | 見て歩き

<< 17世紀の錘 丸田宗彦さんの絵唐津片口 >>