藤本能道 展 @ 智美術館

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虎ノ門の智美術館で開催されている「藤本能道 ~命の残照のなかで~」展へ行ってきました。藤本能道(よしみち)氏は1919年~1992年に活躍された色絵磁器の陶芸家。東京芸大の前身である東京美術学校を卒業後、加藤土師萌氏に師事、富本憲吉氏の助手を務め、九谷焼系の色絵磁器の技法を修得された方です。1985年からは東京芸大の学長を務め、86年には人間国宝にも指定された、いわば大家(wikipedia参照)。今回の展示会は、智美術館の設立者である菊池智氏のコレクションの大皿、陶筥、壷、食器など54件(165点)が展示されています。会場は、今回の企画に合わせて、展示デザイナー、リチャード・モリナロリ氏によって特別デザインされており、展示演出も見応えがあります。会場の前半は、鳥をモチーフにした作品が並び、後半は昆虫をモチーフにした作品、そして最後のコーナーで昭和天皇の食卓で使われる予定であった幻のディナーセットが陳列されています。それぞれの作品の色絵は、白を背景に描かれた繊細かつ大胆な構図の鳥や昆虫。釉描加彩(ゆうびょうかさい)という技法の色遣いや筆致はさすがの技巧です。また絵もさることながら、その背景となる白にいくつものバリエーションがあり、雪白釉、草白釉、霜白釉、梅白釉と言われる微妙な差の白釉を、絵付けの色が引き立つように使い分けされている点にも目を引かれました。日常に寄り添うような器を普段は見ることが多いですが、時にこのような王道をいく器を目にすることも滋養になります。


藤本能道  ~命の残照のなかで~
2009年10月31日~2010年4月18日
11:00~18:00
月曜日休館
入館料:一般1300円
菊池寛実記念 智美術館 (東京・虎ノ門) ホームページ

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by sora_hikari | 2010-03-08 19:55 | 見て歩き

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