装飾 @ 東京都現代美術館

装飾 @ 東京都現代美術館_d0087761_21384612.jpg装飾 @ 東京都現代美術館_d0087761_0162145.jpg

東京都現代美術館で開催されている「装飾」展へ行ってきました。これは当美術館が、MOTアニュアルと称して毎年若手アーチストを紹介するもの。今年は「装飾」をテーマに10人のアーチストの作品が展示されています。ここ数年、ファッションの世界では、ガーリー、ゴスといった装飾性の強いものが見られるように思います。デコラティブなものは、デザインという側面からは後退したものとして捉えられる事もあるように思いますが、人の深層には飾る事への欲求は少なからずあると思います。観念から詰めていく論理よりも、生理に左右される感情の要素が強いでしょうか。古代において装飾とは、富と権力を誇示するものとして存在し、それが翻ってフラットな造形を良しとするのは、ここ150年程の市民社会が確立してからだという説もあります。その歴史のスパンから言えば、シンプルよりははるかに連綿と続いてきた「装飾」という人の行為。そこにあらためてフォーカスしたこの展示には興味を持っていました。会場には素材・表現の異なる10人の作品が並びます。その中で目を惹かれたのが、4つ。柘植の木を粘菌のように加工した森淳一()、ロココ装飾のような磁器作品の青木克世()、大きな紙を緻密に切り抜いた塩保朋子()、塩を300平米の床に模様づけした山本基()。いずれも微細な仕事で集積された装飾には、理屈を超えた圧倒感があります。それらは工芸のアプローチとは違い、現代アートとして作られていますが、その執拗なまでの作業量を見ると、作る過程において自己の消えたトリップ感があるのではないかと思えます。飾るという行為を象徴化させた作品の数々。綿密に作られた作品の全体と末端を見ていると、人の神経細胞が複雑に絡み合って、そこに意識や感情が通っている様を表しているような気さえしてきます。デジタル化が進む現代において、装飾が再認識されるのは、ある意味で人の飢えた感情の必然的な希求なのかもしれません。


装飾 ~MOTアニュアル2010~

青木克世 小川敦生 黒田潔 塩保朋子 野老朝雄 
松本尚 水田寛 森淳一 山本基 横内賢太郎

2010年2月6日(土)~4月11日(日)
入場料:一般1000円
10:00~18:00(入場は30分前迄)
東京都現代美術館 企画展示室1階 ホームページ | プレスリリース(PDF)

装飾 @ 東京都現代美術館_d0087761_21434317.jpg


by sora_hikari | 2010-02-14 21:48 | 見て歩き

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