BEUYS IN JAPAN ボイスがいた8日間 @ 水戸芸術館

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水戸芸術館で開催されている「BEUYS IN JAPAN ~ボイスがいた8日間~」展へ行ってきました。これは1984年に西武美術館で開催されたボイス展のために来日したヨーゼフ・ボイスのインタビューや公開講座の記録映像と、日本国内の美術館や個人収集家の手元に収蔵されたボイスの作品250点を一堂に展示する内容になっています。ヨーゼフ・ボイスは、日本のバブル前夜とも言える1984年に来日し、その難解とも言えるコンセプチュアルな作品、パフォーマンス、対話集会などを披露しました。当時、メディアアーチストとして活躍していたナムジュンパイク氏も加わり、アートと社会的なメッセージを合わせたドイツの異彩という印象が強く残っています。作品もさることながら、フェルト帽にフィッシングジャケットを着たその風体も一段とその感を増幅した記憶があります。ボイスの作品は、個人的な体験から生まれたフェルト、ラード、そり、うさぎなどの象徴的な要素と、社会的なメッセージを持った政治活動、緑化運動などの思想的な要素と、大きな二極から生み出された作品があるように思います。それらの意味するところを読み解くには、今回の展示会で公開されているドキュメンタリー映像や関係者インタビュー映像の中に多くのヒントがあるかもしれません。ただ、そういう概念的な解釈を除いて作品に接しても、その作品の持つ存在感のかっこ良さは現代でも十分に伝わるように思います。それは昨今の古道具人気に繋がる、素で飾らない朴訥としたモノに対する嗜好に通ずるような気がします。ボイスが作品に込めたメッセージとは異にするかもしれませんが、その外見的な造形美は、今の美意識に置き換えられて、理屈いらずで素直に心に届くようにも思います。ボイスは、来日の1年半後の1986年に64歳で急逝したため、東西冷戦の終結も見ぬままこの世を去った訳ですが、当時からメッセージしていた貨幣経済への警鐘や環境問題への危機意識は、現代社会の抱える問題を先駆けて予言していたようにも思えます。貨幣という代替物を借りた仮の資本の不毛を説き、人間のもつ創造性の大切さに重点を置いた「人間はみな芸術家である」という言葉は、これからの時代にも届き続けるメッセージだと思います。


BEUYS IN JAPAN ~ボイスがいた8日間~ 
2009年10月31日(土)~2010年1月24日(日)
9:30~18:00 
月曜休館
水戸芸術館現代美術ギャラリー(茨城県水戸市) ホームページ

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by sora_hikari | 2010-01-06 23:01 | 見て歩き

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