「束芋 断面の世代」 @ 横浜美術館

「束芋 断面の世代」 @ 横浜美術館_d0087761_4394885.jpg「束芋 断面の世代」 @ 横浜美術館_d0087761_4413681.jpg
「束芋 断面の世代」 @ 横浜美術館_d0087761_442668.jpg「束芋 断面の世代」 @ 横浜美術館_d0087761_4421284.jpg

横浜美術館で開催されている「束芋 ~断面の世代~」展へ行ってきました。束芋(たばいも)は、現在30代半ばの現代美術の女性アーチスト。ユニークな名前です(謂れはwikipedia参照)。アーチストとして活動されてから10年目。若いのにキャリアがある方です。「にっぽんの台所」、「にっぽんの通勤快速」など現在の社会現象をアニメーション映像で表現するインスタレーションで世界的な評価を受けています。今回の展覧会では、5つの映像作品と挿絵原画が展示されています。挿絵は2006年~2007年に渡って朝日新聞に連載された「悪人」という新聞小説の挿絵の原画。劇画タッチの線でシュールなモチーフが描かれています。映像作品は、「団地層」、「油断髪」、「団断」、「ちぎれちぎれ」、「BLOW」の新作5作品。残念ながら見に行った日は機械の故障で2作品を見ることが出来ませんでしたが、他3作品で束芋の独特の映像世界に引き込まれました。身近な社会と個人との距離感。団塊ジュニアとも言われる30代の人たちの感じる社会と個のギャップのようなもの。展覧会のサブタイトルである「断面の世代」という言葉は、今の社会をずばっと横から切って、傍観しながら眺めているような、そんな関係性を語っているような気がします。説明しようとするとどうもしっくり来ないのですが、形状の変わったスクリーンに映し出される不思議な映像の世界には没入感があります。作品は現代のものですが、描かれる絵の雰囲気は60年代~70年代のサブカルを彷彿とさせます。寺山修司、唐十郎、横尾忠則、ガロなどの時代の臭い。社会との矛盾や軋轢がカルチャーとして描かれていた頃の精神世界。しかし当時は何かしら反発する対象が存在したのに対して、現在は周辺と距離をもったままリアルな対象を得られない喪失感というようなものを描いたところに束芋の作品のユニークさがあるような気がします。現代の不条理劇を見るような展覧会でした。

※度々の引用になりますが、こちらの方々のブログに展示作品が紹介されています。

・ブルータス副編集長、鈴木芳雄さんのブログ
・弐代目・青い日記帳のブログ 


束芋 ~断面の世代~
2009年12月11日(金)~2010年3月3日(水)
10:00~18:00 (入館は30分前迄)
休館日:木曜日、12月29日~1月1日、2月12日
横浜美術館 ホームページ | 束芋展ページ

「束芋 断面の世代」 @ 横浜美術館_d0087761_4424399.jpg


by sora_hikari | 2009-12-23 23:38 | 見て歩き

<< 古い蝋燭 古橋治人さん、古橋真理子さんの... >>