「国宝 土偶展」 @ 東京国立博物館

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上野の東京国立博物館で開催されている「国宝 土偶展」へ行ってきました。展示会のチラシに書かれたキャッチコピーが「縄文スーパースター!」。その名の通り、縄文時代に作られた選りすぐりの土偶たちがずらりと並んでいます。国宝3点、重要文化財23点、重要美術品2点を含む計67点の土偶のオンパレードです。今回の展示では、初期のころの簡素な造りの土人形から、精巧に作られた代表的な土偶に出会うことができます。その中のいくつかは単体で見たり、教科書で見たことがあるものでしたが、これほど時代ごとにまとまった多くの土偶を展覧したのは初めてでした。土偶は縄文時代草創期から弥生時代の半ばまで、約1万年に渡って作り続けられたのだそうです。その目的は時代ごとに意味合いが変化し多元的に捉えられるそうですが、主には祭祀・呪術・信仰の道具として考えられ、「祈りの造形」とも称されるそうです。また土偶のほとんどは女性像なのだそうです。安産、多産、生命の神秘として女性像。以前聞いた話ですが、アフリカのある先住民族は、焼き物を作るのは女性しか許されなかったのだそうです。大地を使って人間の道具を作る行為は神聖なことであり、それが出来るのは子供を宿すことができる女性にしか認められなかったからなのだそうです。土偶が女性像であるということとは直接的な関係はありませんが、やはり地域を超えて土・焼き物に対して共通する「聖なるもの」という意識があるのかもしれません。今回展示されている土偶の数々は、形も表情も本当にユニークな造形をしたものが多いです。写実的な人物像ではなく、かなりデフォルメされた抽象表現。それらは、いま現在のアートとして十分に通用すると思います。岡本太郎の太陽の塔も土偶に基づいているのが良くわかります。ピカソもアフリカの原始美術に多くの影響を受けています。古代に作られた人の想いが象形化したものには、理屈を超えたパワーがあるのだろうと思います。全くの予備知識がなくとも、十分にその造形の素晴らしに心打たれる内容だと思います。古代のスーパースターたち。毎夜、閉館後に、わいわいやっているかも。そんな気もします。

※展示室の撮影は禁止されていますが、こちらの方々のブログに内覧会時の様子が紹介されています。

・弐代目・青い日記帳のブログ 「国宝 土偶展」
・ブルータス副編集長、鈴木芳雄さんのブログ 「国宝 土偶展@東京国立博物館」 



国宝 土偶展
2009年12月15日(火)~2010年2月21日(日)
9:30~17:00 (入館は16:30迄)
休館日:月曜日、年末年始(12/28~1/1) 
※1/11(月・祝)は開館、1/12(火)は休館
入館料:一般800円
東京国立博物館 本館特別5室 ホームページ

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※平成館1階の考古展示室でも土偶が数点展示されています。時間にゆとりあれば、土器から桃山の陶器まで幅広いものが展示されており見ごたえがあります。入場料はかかりません。現在、「茨城の弥生再葬墓」というテーマ展示も行われています。

特集陳列 「茨城の弥生再葬墓」
2009年12月1日~2010年3月14日
平成館1階 考古展示室 情報ページ

※考古展示室は撮影が出来ます。(フラッシュ・三脚禁止、一部展示品除く)

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by sora_hikari | 2009-12-20 23:13 | 見て歩き

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