糸の宝石 @ lim Art

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恵比寿にある古洋書店・リムアートのイベントスペースで開催されている「糸の宝石」展へ行ってきました。この展示会は、アンティーク店・タミゼを営む吉田昌太郎さんが、フランスの蚤の市で出会った19世紀のアンティークレースを一冊にまとめた本の出版記念と同時に、その実物を展示販売する内容になっています。欧州のレースの歴史は古く、かつては貴族たちの富と権力の象徴として使われていたそうです。複雑に編まれたレースになると、ベールひとつ作るのに千人で分業をして1年を費やすこともあったというエピソードを聞いたこともあります。そういう存在ですから経済価値と美的価値の両方合わせて、レースをいわば糸の宝石と云わしめる所以でもあるようです。16世紀から18世紀にかけて富の象徴だったものが、19世紀になって機械編みのレースが登場することで、手編みレースや刺繍は、やがて良家の令嬢のたしなみとして一般化していったそうです。今回展示されたレースの数々はそんな時代のレースです。蚤の市で見つけた段ボールには、古い手編みレースのサンプルが丁寧に手書きで説明された紙に張り付けられて、まとめて納められていたのだそうです。記された手書き文字から類推すると、少なくとも3人によって作られたサンプル集なのだそうです。それは、代々家で受け継がれた記録だったのか、または姉妹や同好の仲間たちによる記録だったかもしれないそうです。いずれであったとしても、そのレースの丁寧さや繊細さから編んだ女性たちの気品ある暮らしの気配が、今の時代に蘇ってくるようなロマンがあります。それらは贅を尽くした美術品的なレースではなく、あくまで伝承目的として作られたレースサンプルだけに、飾り過ぎない素朴な美しさがより際立つように思いました。以前、「おじいちゃんの封筒」という展示会を見たことがありますが、このレースの作為の無い美しさは、それに通ずるものがあるように感じました。眺めているだけで編み込まれた記憶が伝わってくるような、そんな展示会だったように思います。


糸の宝石
2009年12月8日(水)~13日(日)
12:00~20:00 (最終日は19:00迄)
lim Art (東京・恵比寿) ホームページ

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※当展に展示されたレースを扱った書籍が発行されています。

糸の宝石
吉田 昌太郎 (編集), 鈴木 るみこ (著), 島 隆志(写真)
ラトルズ (2009年12月8日出版) 1890円  紀伊国屋 | Amazon

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by sora_hikari | 2009-12-08 23:49 | 見て歩き

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