「 橘岳 ・ 鈴木都 展 古瀬戸と美濃 」 橘岳さんのこと

橘 岳 ・ 鈴木 都 二人展  ~古瀬戸と美濃~ 」(~1/27迄)を開催中です。会期は明日1/27までとなります。

橘岳(たちばな・がく)さんのことについて。

橘さんは1978年生まれ。千葉県ご出身。教育者のご両親を持ち、一般的に優秀とされる大学をご卒業後、3年間程の企業経験があります。その当時は経理をご担当されていたそうです。

橘さんの印象は、寡黙で思慮深い人。小さい頃から、あだ名は哲学者だったそうですから、今もさほどイメージは変わらないでしょう。大学時代は勉強よりもバレーボール部にのめりこみ、途中で休学をしてバックパッカーとして辺境の地を旅したりと、望めば官僚や一流企業への道が開かれる学歴を持ちながら、迷いの多い学生時代だったようです。

陶芸への転向は明確に聞いていませんが、目白の坂田さんのお店に通ったり、中世の古物を見たりしていたことが、その背景にあるようです。その頃に地元・千葉で通った陶芸教室から始まり、瀬戸の窯業訓練校に入ったことが今に繋がっています。

橘さんの陶芸への起点にあるのは、職業的な選択以前に、中世の古瀬戸の姿に近づくという探究心に思えます。土を自分で堀り、薪窯で焼くという原初に倣い再現するという外形的な行為もさることながら、橘さんにとって肝心なのは、中世に作られたものが持つ精神性の在り方であるように思います。抽象的な表現になりますが、静かな形に内在する無垢な第三の力でしょうか。

橘さんと初めてあった時は、朴訥として人付き合いの不器用な人物という印象でした。しかし、少しづつ接して分かるのは、もの言わぬもの、傷ついた人への温かな目線です。現在は陶芸だけで生活は成り立たないため、副業としているのは、家庭に問題を抱えて施設で暮らさざる得ない子供たちに、勉強を教えたり、スポーツをしたりするアルバイトです。彼にとって、これも今は大切な仕事。花を愛で、拾った猫を飼い、土を探し、中世の壺に思いを馳せる。まだ迷いの中にありながらも、きっと器づくりで何か実感できるものを見つけてくれるのではないかと思っています。

言葉で多くを語らぬ分、深い深いところに降りて本質を探している。そんな純粋さに触れると、橘さんの作っているものに、こちら側からもっと近づいてみたくなるのです。

写真は橘さんのご自宅にて撮影






橘 岳 (たちばな・がく)
1978年 千葉県生まれ
2004年 一橋大学社会学部卒業
2010年 愛知県立窯業高等技術専門校修了
2014年 現在、愛知県瀬戸市で制作


橘 岳 ・ 鈴木 都 二人展  ~古瀬戸と美濃~
2015年1月17日(土)から27日(火)まで 会期中無休
営業時間 11時~18時  
ギャラリーうつわノート (地図


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# by sora_hikari | 2015-01-26 18:26 | 橘岳・鈴木都

「 橘岳 ・ 鈴木都 展 古瀬戸と美濃 」 酒器

橘 岳 ・ 鈴木 都 二人展  ~古瀬戸と美濃~ 」(~1/27迄)を開催中です。会期は残り2日となりました。

鈴木都さんの酒器。

酒杯、ぐい呑は、焼き物が好きで、お酒を嗜まれる方には、絶好の品。それは茶碗のエッセンスが凝縮されたスモールワールドでもあります。コレクターも多く、例えれば、少年が心躍るミニカー集めの衝動に近いでしょうか。

鈴木さんの作る桃山陶のフィギュア、ぐい呑。400年の歴史に想いを馳せて、コレクションにおひとつ加えてみては如何でしょうか。

  ぐい呑み 各種(志野、黄瀬戸、井戸)

  徳利 各種(志野、黄瀬戸)


橘 岳 ・ 鈴木 都 二人展  ~古瀬戸と美濃~
2015年1月17日(土)から27日(火)まで 会期中無休
営業時間 11時~18時  
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橘 岳 (たちばな・がく)
1978年 千葉県生まれ
2004年 一橋大学社会学部卒業
2010年 愛知県立窯業高等技術専門校修了
2014年 現在、愛知県瀬戸市で制作

鈴木 都 (すずき・しゅう)
1984年 東京都生まれ
1997年 美濃古窯跡を訪ねる
2011年 愛知県立窯業高等技術専門校修了
2014年 現在、岐阜県土岐市で制作


# by sora_hikari | 2015-01-25 18:16 | 橘岳・鈴木都

「 橘岳 ・ 鈴木都 展 古瀬戸と美濃 」 食器

橘 岳 ・ 鈴木 都 二人展  ~古瀬戸と美濃~ 」(~1/27迄)を開催中です。会期は残り3日となりました。

写真は、橘岳さんの食器。本展では瓶子を多く出品していますが、このような食器も併せて展示しています。

リムの広いお皿は、デルフトのような姿ですが、実はそれよりずっと昔に猿投窯で焼かれた段皿をベースにしたものです。また、ひだ状のお皿も御深井(おふけ)と呼ばれる江戸初期に瀬戸方面で焼かれた形に基づいています。

食器の形は、瀬戸・美濃方面で作られた古いものを踏襲しています。素材は、いくつかを使い分け、唐津系の土を用いたもの、カオリンを生地にしたもの、堅手と呼ばれる磁器もの、志野系の釉によるものなどが並びましたが、全てを写真に納める事ができず、その一部をご紹介しています。

橘さんの食器。これも瓶子と同様に、素朴で無口な姿が魅力なのです。

  段皿(唐津手)

  飯碗(カオリン)

  ひだ皿(唐津手)

  平皿(カオリン)


橘 岳 ・ 鈴木 都 二人展  ~古瀬戸と美濃~
2015年1月17日(土)から27日(火)まで 会期中無休
営業時間 11時~18時  
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橘 岳 (たちばな・がく)
1978年 千葉県生まれ
2004年 一橋大学社会学部卒業
2010年 愛知県立窯業高等技術専門校修了
2014年 現在、愛知県瀬戸市で制作

鈴木 都 (すずき・しゅう)
1984年 東京都生まれ
1997年 美濃古窯跡を訪ねる
2011年 愛知県立窯業高等技術専門校修了
2014年 現在、岐阜県土岐市で制作


# by sora_hikari | 2015-01-24 23:16 | 橘岳・鈴木都

「 橘岳 ・ 鈴木都 展 古瀬戸と美濃 」 茶碗

橘 岳 ・ 鈴木 都 二人展  ~古瀬戸と美濃~ 」(~1/27迄)を開催中です。

 鈴木都(しゅう)さんの作る茶碗。それは、桃山陶を代表するものです。室町時代の唐物趣味から、侘び茶への移行と共に生まれた国産の焼き物。それが、美濃の志野・黄瀬戸・瀬戸黒・織部のスタイルです。それは、まさに日本の焼き物史におけるルネサンス。今でも茶の湯の世界で根強い人気を誇っています。

その中でも、鈴木さんが今回出展したのは、志野と黄瀬戸の2種の茶碗です。写真で伝わる通り、30歳になったばかりとは思えない熟達した出来映えです。

志野。筒形をヘラで細工した動きのあるフォルム。長石釉を纏った白の焼き物。下地に施された鬼板と呼ばれる泥漿で描かれた鉄絵。志野茶碗の基本スタイルです。元来は、天目形の茶碗に長石を施し(白天目)、白磁を意図したとも言われますが、それが桃山期に変化して、この独特の造形を生み出しました。

一方の黄瀬戸は、美濃陶の中でも一番最初に作られたスタイルで、その祖形は古器を写したものが多く、志野や織部のような強い造形はありません。その分、端整な形に、淡い黄色、その中に描かれるタンパンと鉄による緑と茶の模様が、静かに枯れた景色を湛えます。

生活食器が全盛の中にあっても、いまだ茶碗は、陶芸家にとって特別な存在です。厳選した素材に、選び抜いた形と焼き上がりのものだけを、茶碗とする事が多い世界です。

陶芸の文化を支えてきた茶の湯の道具なだけに、単なる機能性で語られるのではなく、むしろ茶という舞台を演出する道具として特殊性を帯びた器です。それは、擬似的に自然を様式化した茶のステージに於ける美のフォーマットでもあります。その意味で、作為を前面に出して作られた志野茶碗は、その舞台で主役を演じる役者とも言えましょうか。

茶碗は、一般の食器の在り方に対して、その権威や閉鎖性も問われることもありますが、これは食器との比較で語るよりも、ある約束事の中で美意識を競う盆栽の評価や、陶土による彫刻的な作品として捉えた方が素直な見方が出来るかもしれません。この特殊性ゆえ、限られた流通の中で価値が序列化され続けるユニークな焼き物なのです。

鈴木さんと美濃焼き物の出会いは、小学生の頃まで遡ります。その時に手にした加藤唐九郎著の「やきもの教室」(とんぼの本)がきっかけで、やきものへの興味が沸いたそうです。その早熟ぶりはなかなかなもので、自分で土堀りに出掛けたり、古い窯跡を訪ねたり、老舗の焼き物店(黒田陶苑など)に通ったりと、老成した愛好家のごとく、幼少の頃から「焼き物少年」でした。高校時代まで続いた焼き物熱は、その後は一旦、音楽や舞台の道に移りますが、26歳の時に再び、瀬戸の窯業学校で専門的な陶芸技術を学びました。

この鈴木さんの経歴からすれば、陶芸を職とするのは自然な事だった訳で、それも憧れの加藤唐九郎が主とした美濃の焼き物スタイルを探究するのも必然であったと言えるのです。

陶芸家を先生と呼ぶことが今だ健在の美濃スタイルの焼き物の世界。子供の頃から憧れ続けてきた一途な世界ですが、焼き物の家系の後ろ盾もなく、30歳になったばかりの鈴木さんが、どう立ち向かうのか。この確立したスタイルに、どう新しい風を吹きいれるのか、そんな興味も合わせて注目して欲しい作り手なのです。

  赤志野茶盌 No.14  径12.5cm 高さ8.8cm



  志野茶盌 No.1  径12.5cm 高さ8.5cm



  紫志野茶盌 No.15  径12.7cm 高さ8.7cm



  志野茶盌 No.13  径11.7cm 高さ8.5cm



  志野茶盌 No.12  径13.0cm 高さ9.2cm



  志野茶盌 No.10  径13.5cm 高さ8.1cm



  志野茶盌 No.11  径12.9cm 高さ8.6cm



  黄瀬戸茶盌 No.152  径15.1cm 高さ6.3cm



  黄瀬戸茶盌 No.156  径11.2cm 高さ7.1cm



  黄瀬戸茶盌 No.153  径10.9cm 高さ7.6cm




橘 岳 ・ 鈴木 都 二人展  ~古瀬戸と美濃~
2015年1月17日(土)から27日(火)まで 会期中無休
営業時間 11時~18時  
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橘 岳 (たちばな・がく)
1978年 千葉県生まれ
2004年 一橋大学社会学部卒業
2010年 愛知県立窯業高等技術専門校修了
2014年 現在、愛知県瀬戸市で制作

鈴木 都 (すずき・しゅう)
1984年 東京都生まれ
1997年 美濃古窯跡を訪ねる
2011年 愛知県立窯業高等技術専門校修了
2014年 現在、岐阜県土岐市で制作


# by sora_hikari | 2015-01-23 22:53 | 橘岳・鈴木都

「 橘岳 ・ 鈴木都 展 古瀬戸と美濃 」 古瀬戸の姿

橘 岳 ・ 鈴木 都 二人展  ~古瀬戸と美濃~ 」(~1/27迄)を開催中です。明日1/23は午後から橘さんが在廊して下さることになりました。

 橘岳(たちばな・がく)さんは、古瀬戸と呼ばれる中世に作られた瓶子(へいし)を作っています。

 古瀬戸とは、12世紀後期から15世紀後期にかけて、約300年の間、瀬戸地方の窯で作られた施釉陶器の総称です。古瀬戸の生産内容から、この300年を前期・中期・後期に大別しており、橘さんが作る瓶子は、前期にあたる12~13世紀ごろに多く作られたものです。前期の古瀬戸は、高級施釉陶器として、その多くが鎌倉へ運ばれました。

 中期(13世紀後期~14世紀中期)になると、器種も増え、瓶や壺に加えて、天目茶碗や碗・皿、花器などに展開していきます。さらに後期(14世紀後期~15世紀後期)では、皿・鉢・鍋・釜など生活用品が作られ、一大窯業地として生産量も増加しました。当時、無釉の炻器(せっき)が一般的であった日本の他の窯業地に比べると、瀬戸は最先端をいく焼き物の産地でした。

 古瀬戸の瓶子は、当時の中国陶磁を祖形にしており、武家社会の社会的ステイタスを表す象徴的な存在でした。元々中国では酒器や祭器として作られたものですが、鎌倉の出土品には、蔵骨器として使われたものもあるようです。

 橘さんが作る瓶子は、古瀬戸の前期に作られた、まだ技術が完成し切らない粗製の姿を残しています。それは、中国陶磁の極めた形や釉調とは異なり、手の温もりを感じる柔らかな輪郭で、その上を流れる自然灰が美しい条痕(じょうこん)を描いています。

 陶片や窯跡から、当時の素材や技術を推察し、それに近い瀬戸の原土を山の中から採掘、そして薪窯による焼成(一部、ガス窯アリ)によって、原点に近づこうとしています。そうして得られた姿は、まるで本歌と見紛うほどの出来栄えです。

 古瀬戸の瓶子の姿は、中世の素朴さを残しながら、同時に律とした気品を兼ね備えています。じっと見つめていると、その内側から静かな意思が伝わってきます。それは、橘さんのお人柄と同じく、もの静かに思索的で、とても深い深いところにある目に見えぬ情動のようなものです。古瀬戸の瓶子。そう、それは橘さんと、とても重なるのです。

  橘岳さんの自宅にて撮影

  橘岳さんの自宅にて撮影

  灰釉三筋文瓶子(梅瓶形)No.13 高さ29cm 胴径19cm 

  灰釉三筋文瓶子(梅瓶形)No.16 高さ30cm 胴径18cm 

  灰釉印花文瓶子(肩張形)No.15 高さ26cm 胴径18cm 

  灰釉無文瓶子(梅瓶形)No.7 高さ30cm 胴径18cm 

  灰釉無文瓶子(梅瓶形)No.19 高さ30cm 胴径18cm 

  灰釉三筋文瓶子(肩張形)No.17 高さ30cm 胴径21cm 

  鉄釉瓶子(肩張形)No.8 高さ28cm 胴径18cm

  灰釉無文瓶子(梅瓶形)No.23 高さ30cm 胴径20cm

  鉄釉瓶子(肩張瓶形)No.10 高さ28cm 胴径20cm

  鉄釉椿文瓶子(梅瓶形)No.12 高さ27cm 胴径18cm

  灰釉三筋文瓶子(肩張形)No.1  高さ35cm 胴径20cm

  灰釉三筋文瓶子(肩張形)No.20 高さ28cm 胴径17cm

  灰釉無文瓶子No.22 (梅瓶形) 高さ29cm 胴径18cm


橘 岳 ・ 鈴木 都 二人展  ~古瀬戸と美濃~
2015年1月17日(土)から27日(火)まで 会期中無休
営業時間 11時~18時  
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橘 岳 (たちばな・がく)
1978年 千葉県生まれ
2004年 一橋大学社会学部卒業
2010年 愛知県立窯業高等技術専門校修了
2014年 現在、愛知県瀬戸市で制作

鈴木 都 (すずき・しゅう)
1984年 東京都生まれ
1997年 美濃古窯跡を訪ねる
2011年 愛知県立窯業高等技術専門校修了
2014年 現在、岐阜県土岐市で制作


# by sora_hikari | 2015-01-22 20:57 | 橘岳・鈴木都

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