「 小野哲平展 塊は魂 」踏み絵

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小野哲平展 塊は魂 」(~4/30迄)の7日目。

小野さんは暮らし中の「うつわ」を定着させてきた第一人者ですが、若い頃には既成価値への反骨精神から前衛的な「うつわ」の企画展を行ったこともあります。例えば、個々のうつわに値段をつけない「量り売り」展(1983年)や、人によるうつわの価値を問う「動物のためのえさ鉢」展(1986年)。調和することよりも衝動をぶつけてみる。そんな闘いを経て、いまのような「うつわ」に至っているのです。

今回の「塊」展は、自分に定着した既成価値を一旦取り除く挑戦でもあります。自分に対して、そしてお客様に対してでもあるでしょう。ある意味で踏み絵のようなものです。自分の作る「うつわ」の用途をはずした時に、どこまで「造形物」として評価を得られるのか。両者に課せられた再確認なのだと思います。会期は残り2日となりました。どうぞ小野さんのこのメッセージを実際に目にしてください。


小野哲平展 「塊」は「魂」
2017年4月22日(土)~30日(日) 会期中無休
営業時間 11時~18時 
ギャラリーうつわノート(埼玉県川越市) 地図

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小野哲平プロフィール
1958年   愛媛県松山市に生まれる
1978~80年 岡山県備前にて修業
1980~81年 沖縄県知花にて修業
1982~84年 常滑にて鯉江良二氏に弟子入り
1985年   愛知県常滑市にて独立
1998年  高知県谷相に移住
2017年 現在、同地にて作陶


# by sora_hikari | 2017-04-28 18:46 | 小野哲平2017

「 小野哲平展 塊は魂 」亀の甲羅・泥の鏡・猪の口

小野哲平展 塊は魂 」(~4/30迄)の6日目。

本日は、「亀の甲羅」「泥の鏡」「猪の口」という名の「塊」です。ご本人曰く、うつわではなく、あくまで「塊」であるとの事ですが、しかし今回一番うつわに近い立体です。

土の塊を削り出した「亀の甲羅」は、いわば粘土の刳り物で、アフリカ原始美術のような強さがあります。若い頃に作っていたポットの取っ手や、皿に施すブラシの圧力などに通じるエネルギーある手の感触は、普段のろくろの「うつわ」よりも、小野さんの造形の原点に近いのではないかと思えます。ぜひ今後のうつわにも展開して欲しい形です。

「泥の鏡」は矩形と円形がありますが、同タイトルながら矩形は荒々しく、円形は鏡のごとくフラットで整った印象です。こちらも台皿などに転用できそうな形状ですが、本人の意図による「鏡」のタイトルからも分かるように、古代の祀りごとの神聖な道具に通じています。

先に紹介した「土の柱」や「象の鼻」などが直立する象徴物であるのに対して、「亀の甲羅」や「泥の鏡」は平面に置かれるゆえに、受動的な存在として考えられるでしょう。自立と受動、太陽と月、あるいは益荒男(ますらお)と手弱女(たおやめ)。2つをこのように対比するならば、「亀の甲羅」や「泥の鏡」は、天から何かを受くる「うつわ」の象徴物だと思うのです。

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 亀の甲羅

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 亀の甲羅

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 亀の甲羅

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 亀の甲羅

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 亀の甲羅

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 亀の甲羅

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 亀の甲羅

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 亀の甲羅

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 猪の口

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 泥の鏡(四角)

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 泥の鏡(四角)

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 泥の鏡(四角)

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 泥の鏡(四角)

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 泥の鏡(四角)

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 泥の鏡(四角)

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 泥の鏡(丸)

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 泥の鏡(丸)

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 泥の鏡(丸)

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 泥の鏡(丸)

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 泥の鏡(丸)


小野哲平展 「塊」は「魂」
2017年4月22日(土)~30日(日) 会期中無休
営業時間 11時~18時 
ギャラリーうつわノート(埼玉県川越市) 地図

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小野哲平プロフィール
1958年   愛媛県松山市に生まれる
1978~80年 岡山県備前にて修業
1980~81年 沖縄県知花にて修業
1982~84年 常滑にて鯉江良二氏に弟子入り
1985年   愛知県常滑市にて独立
1998年  高知県谷相に移住
2017年 現在、同地にて作陶


# by sora_hikari | 2017-04-27 18:31 | 小野哲平2017

「 小野哲平展 塊は魂 」象の鼻・なまこ・みみず・泥の歯車

小野哲平展 塊は魂 」(~4/30迄)の5日目。会期は折り返しました。

本日は「象の鼻」「なまこ」「みみず」「泥の歯車」と名付けられた作品です。ユニークな命名ゆえにイメージを限定する可能性がありますが、具体的に何かを模したものではなく、また花器などの用途を持ったものでもありません。(もちろん見立ててお使い頂くことはやぶさかではありませんが)主題の通り「塊」という一連の作品になります。

15cm~40cm程の垂直または水平方向に置かれた立体。従来の釉薬が施されたものもあれば、削ぎ落されたものもあります。「象の鼻」や「なまこ」は細長い有機体、「みみず」や「泥の歯車」は中空を持った管状の造形です。

誤解を恐れずに言えば、これは現在のイコンと捉えられるでしょう。縄文期に見られる石棒、あるいは石信仰の形状に繋がる媒体のように見えます。昨日ご紹介した「土の柱」がミニマルな抽象だとすれば、こちらはより具象的な偶像崇拝の意味を感じます。

現代に失われた絶対的存在に対する畏怖。その祈りを伝える媒体。翻って、自己の祈りを投影する役割を有するなら、「うつわ」とはまた違った存在の意味を見出すことができるのではないでしょうか。

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小野哲平展 「塊」は「魂」
2017年4月22日(土)~30日(日) 会期中無休
営業時間 11時~18時 
ギャラリーうつわノート(埼玉県川越市) 地図

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小野哲平プロフィール
1958年   愛媛県松山市に生まれる
1978~80年 岡山県備前にて修業
1980~81年 沖縄県知花にて修業
1982~84年 常滑にて鯉江良二氏に弟子入り
1985年   愛知県常滑市にて独立
1998年  高知県谷相に移住
2017年 現在、同地にて作陶


# by sora_hikari | 2017-04-26 18:18 | 小野哲平2017

「 小野哲平展 塊は魂 」土の柱・泥の箱

小野哲平展 塊は魂 」(~4/30迄)の4日目。

本日より展示物をタイプ別に分けて解説します。

まずは「土の柱」や「泥の箱」と名付けられた作品についてです。これらは今回最も「うつわ」と離れた造形物です。それは形、作り方、仕上げが、小野さんの通常のうつわづくりと異なるからです。

直方体の土の塊。粗い粘土を木枠に押し込み、無垢の状態にした塊から中身を刳り出しています。板づくりと違い、一旦、土を圧縮して塊にすることで、無垢材のような強さが保たれています。重量感のあるマッス。それは、「2001年宇宙の旅」で神の象徴とされたモノリスのようでもあり、石碑や石棺のような古代遺物のようでもあります。

さらにその多くの表面が焼成後に削り出されています。釉薬を削いで、その奥に隠れた土の姿を露わにすることで、このテクスチャーを得ています。無釉の焼締めとはまた異なる表情です。

型に嵌め、矩形化されたフォルムに、焼いた土の奥を露出させる。ろくろによる揺らぎ、釉薬による色と質感、そして薪窯によって生れる自然性の受容。通常の小野さんの「うつわ」づくりのプロセスの対極を敢えて選び、彫刻的アプローチをしたと考えて良いでしょう。

これは自然性を有する「うつわ」の対極に置くことで、その人為的「モノ」に客観性を与える共に、小野さんの陶芸の出発点とも言える鯉江良二さんの自由造形とは逆説的な形状を選ぶことで、その呪縛から解放されるようにも見えます。

あくまで小野さんが作り続けてきた「うつわ」という文脈から発した言葉だと思うのです。哲平さんの意志が塊として形象化したと見れば、分かり易いと思います。軽やかになり過ぎた現代の工芸品に対するメッセージ。いやそんな安易な解釈よりも、凝縮され焼き固められた、もの言わぬ「物体」と、観賞者の間に交わされる饒舌な言霊によって、その意味は付加されることでしょう。

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小野哲平展 「塊」は「魂」
2017年4月22日(土)~30日(日) 会期中無休
営業時間 11時~18時 
ギャラリーうつわノート(埼玉県川越市) 地図

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小野哲平プロフィール
1958年   愛媛県松山市に生まれる
1978~80年 岡山県備前にて修業
1980~81年 沖縄県知花にて修業
1982~84年 常滑にて鯉江良二氏に弟子入り
1985年   愛知県常滑市にて独立
1998年  高知県谷相に移住
2017年 現在、同地にて作陶


# by sora_hikari | 2017-04-25 22:09 | 小野哲平2017

「 小野哲平展 塊は魂 」表裏

小野哲平展 塊は魂 」(~4/29迄)の3日目。

弊店で小野哲平展は2回目。前回は「その造形」を主題にした。小野の場合、その暮らしぶりと生活道具であるうつわがセットでイメージ形成されており、時に自然志向の情緒性が先行して評価される場合が多い。事実、それによって確固たる作家として認知されたとも言える。

しかしうつわという用具を作りながらも、一方でその造形性、芸術としての意味を求めた精神的昇華の結実でもありたいと本人は思っている。その思いから生れる造形物には、人の心を感動させる力があると信じている。その欠落しがちな一方をクローズアップしてみる。これが前回に引き続き、今展でもテーマになっている。

さて「塊」という名の物体。見れば分かるように、小野の作る「うつわ」の持つもうひとつの一面を切り出した造形物である。「うつわ」を造形することとプロセスを異にする物があるとは言え、決して奇を衒った表現物ではない。その強さ、重み、象徴性は小野哲平の作るものに他ならない。「うつわ」にも同時に存在する造形美。それは用途という拠り所から離れ、意味のない意味を感じ取ることから始まる。つまりどんなものにも備わった表裏なのである。

「塊は魂」。如何にも時代がかった重厚なタイトルである。しかし道具に調和的美しさを求める時代にあって、人の作りし「心」を問うてみる。軽やかでないのかもしれない。くどいのかもしれない。だがこの造形に表れる身体性こそ、小野の「うつわ」を支える強さである。

「うつわ作家」である小野への賛否を含めて考えて欲しい。小野が今、ここで訴える「塊」という形で現した「言葉」を。

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小野哲平展 「塊」は「魂」
2017年4月22日(土)~30日(日) 会期中無休
営業時間 11時~18時 
ギャラリーうつわノート(埼玉県川越市) 地図

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小野哲平プロフィール
1958年   愛媛県松山市に生まれる
1978~80年 岡山県備前にて修業
1980~81年 沖縄県知花にて修業
1982~84年 常滑にて鯉江良二氏に弟子入り
1985年   愛知県常滑市にて独立
1998年  高知県谷相に移住
2017年 現在、同地にて作陶


# by sora_hikari | 2017-04-24 23:29 | 小野哲平2017